コメ輸入で岐路に立つ小泉農政
小泉進次郎農政が、順調に走っているように見える。
就任直後に直面した米価高騰の問題を、鮮やかに処理しつつあるように見える。だが、まだまだこの問題は予断を許さない。高騰を抑える手段として使った備蓄米が、底を見せようとしているからである。
次に農相が考える手段は何か。
首相が言うには、国内に備蓄米が無くなれば、外国からの輸入米に頼るしかない。そのように言って、農相とその近辺にいる政治家は、輸入するしかない、と国民に思い込ませようとしている。
しかし、これは事実と違う。
政府は、国内に備蓄米が無くなるというが、これは事実と違う。無くなるのは、政府の備蓄米であって、民間にも備蓄米がある。その他に後日の供給のための流通在庫米もあって、備蓄米の役割りを担うこともできる。。
そうした国産米が国内にあることを、先週、報道各社が映像つきで報じていた。映像には、米屋さんの店の棚に国産米が大量に積み上げられていた。
それなのに、なぜ政府は国内にコメが無くなると誤解させるように言うのか。それは、コメの輸入はやむを得ない、と国民に思わせるためだろう。そのために、国内にコメが無くなるという、いわば官製の(あのトランプ大統領が大嫌いな)フェイクニュースを流しているのだろう。
ここには、小泉農相の、食糧安保を軽視する姿勢が透けてみえる。
薩摩隼人である川野重任先生が言われた、食糧安保についての言葉を、ここに記しておこう。
先生は、ある酒席で「戦いに敗れた将兵が、敵将に対して「命だけはお助け下さい。食糧は自分たちで調達します。」と言えば許してくれるかもしれない。しかし、「・・・食糧も下さい。」などと乞えば、首をちょん切られるか、奴隷として売り飛ばされるだろう」と言われた。
われわれ若い学生は、農学の核心である食糧安保論の神髄に触れた思いで、心に深く刻んだ。
小泉農相は、いま、米価高騰を鎮静化するためにコメを輸入するか否か、という岐路に立っている。賛否両派の主張を聞いてみよう。
このように、両派の主張は、効率を重視して食糧安保を軽視するか、それとも、国家の安泰のために食糧安保を重視するかで、真っ二つに分かれている。
農相や、その近辺にいる政治家は、市場に於ける「仮需」の意味が、まったく分かっていないようだ。分かり易くいえば、今後、値上がりすることが予想されるものを、売り急ぐことはない、ということである。これは、正常な市場行動である。
米価が上がっているのは、今後も米価がさらに上がることを予想して、市場への供給量を、さらに減らすからである。そうすれば、米価はさらに上がる。こうした悪循環に陥っているのだろう。
さらに言えば、米価が上がっているのは、いつになれば、米政策の刷新によって需給が正常に戻るか、が分からないからである。
中・長期的に言えば、農業者の農業離れが進み、供給量が需要量よりも少なくなることで、つまり、仮需が相対的に大きくなることを予想して、米価が高騰しているのである。
輸入反対派が、「緊急事態」の期限を明示せよ、と言っているが、これは、この点を突いた要求なのである。
つまり、農業離れを阻止する米政策の要求なのである。
参院選を前にした野党はどうか。野党も2つに割れている。それだけではない。コメ問題を、それほど重要な政治課題ではない、と考えている政党が多い。
これでは、農村だけでなく多くの国民の支持は得られないだろう。
一部の論者や政治家は、野党には政権奪取の意気込みが無いのではないか、と疑っている。
1と月後には参院選がある。逡巡してはいられない。目先の対策だけでなく、小泉農政の真価が問われるだろう。その対策が拠って立つ小泉農相の農政哲学を聞かねばならない。小泉農相は、食糧安保をどう見ているのか。重視するのか、軽視するのか。
どちらの道を進むのか。それによって、国民が参院選で厳正な審判を下すことになる。
食糧安保を軽視する政治が横行すれば、やがて日本人は、奴隷として売り飛ばされるかもしれない。
(本稿はChatGPTから貴重な示唆を得た)
.(2025.06.16 JAcom から転載)