北東亜細亜共同体論

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無茶苦茶なコメ政策批判が世を欺く (2026.05.24)

無茶苦茶なコメ政策批判が世を欺く

●社会を混迷に陥れる農政批判
 朝日新聞が、先週月曜日の第1面トップで、農政批判を行った。その内容は、いまの農政の表層に浮き沈みする政策に対する批判に終わっている。農政の根本的な批判に突き刺さっていない。これが、いまの農政に対する標準的な批判なのだろう。浅薄な批判というしかない。
 ここには、農業は他の業種とは違った特別な政策が必要だ、という経済思想がない。確固とした社会思想がない。だから、ある時は市場原理主義思想に基づく主張をして財界に媚びる。また、ある時は協同主義の思想に基づく主張のように見せかけて、国民から喝采を浴びようする。
 ここには、農政は何のためにあるのか、日本をどんな国家にするためにあるのか、という視点がない。だから、枝葉末節の議論の中での、独り善がりの主張に終わっている。
 その結果、新聞が社会の公器になっていない。それどころか、社会を混迷に陥れている。

●コメ輸出論と減反批判論
 この記事の見出しは、「コメ輸出より減反 半世紀」というものである。言葉足らずではあるが、これは、この半世紀の農政は、コメの輸出はしないで減反をした、という意味だろう。それを批判する、と言いたいのだろう。
 見出しに書くくらいだから、これが農政の誤りの根本にある、という認識に基づく批判だろう。
 たしかに、この半世紀の政治は、輸出政策を採らなかったし、半強制的な減反政策を続けてきた。

●コメ輸出論は世を欺く
 はじめに、輸出政策を検討しよう。
 昨年、米国のトランプ大統領が「日本はコメに700%もの超高率な関税をかけている」と発言したことがある。だから、関税を下げよ、という主張である。
 この主張には賛成できないが、これは、GATT交渉が妥結した1993年には、日本の米価は国際米価の約7倍だった、という事実に基づく主張である。だから当時は、米国政府も7倍という事実を認めて、700%もの超高率な関税の関税を受け入れたのである。これほどの大きな価格差があるという事実は、今でもそれほど変わっていない。
 つまり朝日新聞は、価格が7倍もするコメを輸出する、という無茶苦茶な政策を主張しているのである。そうして、政治がこの無茶苦茶な政策を採らなかったことを批判しているのである。笑止千万というしかない。
 このような、事実に基づかない批判に耳を傾ける人は、ほとんどいないだろう。厳しく言えば、これは世を欺く批判である。

●減反は次善の策
 つぎは、減反政策に対する批判である。
 いままで半世紀の間、政治は減反政策を制度として、また政治的な強制として行ってきた。この減反政策を、筆者も全面的に賛成している訳ではない。だが、全面的に否定している訳でもない。
 減反をしないで、大量にコメを生産して、輸出に失敗したらどうなるか。大量のコメが市場に溢れ、米価は暴落するだろう。農業者は生産を続けられなくなるだろう。だから、減反をして米価の暴落を避ける、という点で、筆者は減反政策を次善の策と考えている。

●最善策は食糧安保が基本
 では、最善の策は何か。それは、農政の基本理念にまで遡れば自ずと明らかである。それは食糧安保である。食糧安保に貢献するコメ政策である。
 いま、日本の食糧自給率は38%にまで少なくなっている。穀物の自給率は、さらに少なく、28%である。これでは、食糧安保が確保されている、とは言えない。食糧安保のためには、コメの減反を止めて増産すべきである。そうして非常時に備えて大量に備蓄し、備蓄の役割を終えた古米は、メンやパンや飼料にすればいい。
 そうすれば大量に輸入しているムギなどの輸入量を減らすことができる。その結果、穀物自給率を上げ、食糧自給率を上げることが出来る。そうして、食糧安保を万全なものに出来る。

●市場原理主義農政を肯定するのか
 朝日新聞の減反批判論の記事の副題は「手厚い補助」である。だが、ここにも重大な問題がある。どれ程が「手厚い」のか。その言及がない。政治は、農業に対して、なぜ「手厚い補助」が必要なのか、という点の思想がない。
 これでは、農業保護政策に対する全面的な否定になる。そして、これは減反批判に止まらず農政全般の評価に関わる問題である。農業には特別な保護が必要だ、という思想がない。かい間に見えるのは、市場原理主義である。政治は市場に介入するな、一切を市場に任せよ、という経済思想である。
 この思想が、国民の間の格差の拡大をもたらしたことを肯定するのか。

●戦後一時期の農政に学べ
 戦後の一時期の農政は、この思想を採らなかった。そうして、農村を都市並みに豊かにした。
 その結果を、論理を飛躍させて骨太に言えば、日本では、農村で食えなくなって都市へ移住したものの、都市でも食えなくてスラム街を作る、ということがなかった。こうした国は、世界中のどこにもない。
 また、日本は銃社会にならなかった。これも世界の中で稀な国である。このように、日本社会の治安の良さは、日本農政の、世界に誇るべき成果である。
 これは、左翼といわれた農林官僚が、衆知を集めて立案し、政治が採用した、戦後一時期の農政の成果である。その深層には、農村の貧困と闘う、先人たちの農協運動があった。ここから学ぶべきことは多い。
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 前記の因果関係に於ける事実の確認と、論理の飛躍の解消は、若い農政学徒に委ねよう。
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