迫り来るインド起点の世界食糧危機
インドで、穀物需要の爆発的な増加が始まった。これは中国で以前に経験したことである。
原因は、中国もインドも同じで、経済発展にともなう食生活の転換である。つまり、肉食の拡大である。それによる、家畜の飼料としての穀物需要の増大であり、国内では供給しきれいので穀物輸入の爆発的な増加である。
起爆剤などという矮小なものではない。人口が15億人に迫る人たちが作った、ギガトン級の巨大爆弾が、ズドーーーンと、世界を真っ2つに引き裂くように炸裂したのである。
このことを考えたとき、今後、グローバル・サウスといわれる発展途上国が続くのは、間違いないだろう。
グローバル・サウスの諸国が、中国やインドのすぐ後を追って走っている。中國やインドと同じように、穀物需要の拡大、肉食の拡大、穀物輸入の増大が波及することは、間違いないだろう。
経済発展によって所得が増えた人々が、肉食を始めたのである。それに対して、経済発展を止めよとか、肉食を止めよ、などとは誰しも言えない。そして、これは世界的な規模での食糧危機の始まりである。
これに続く事態は何か。
世界の歴史を見ると、食糧危機が、世界の多くの国で、社会的動乱の原因になった。このことを考えたとき、世界的な動乱の始まりを予感させる。
日本にも、同じ歴史があった。
これまでは、国内の動乱で収まっていたが、今後は、世界規模での動乱に広がっていくだろう。世界的な食糧の奪い合いである。
これに加えて、地球の灼熱化が止めどもなく進んでいる。そして、それをもう1つの原因にして、食糧危機を激化させている。
こうした事態の中で、担当する農相の食糧政策は、あまりにも呑気ではないか。あまりにも浅薄ではないか。頭脳を弛緩させた状態の中で、惰眠を貪っているように見える。
ときどき目を覚まして、「米価は市場に任せる」とか、「政治は米価に介入しない」とか、「需要にみあった供給」とか、意味も考えずにつぶやいている。
ときどき目を覚まして、「おこめ券」などと言って、顰蹙をかっている。
早く目を覚まして、主食であるコメ政策の抜本的な改革を真剣に構想して、法制化、制度化を急ぐべきである。
そうして、世界的規模での食糧危機と、それに続く世界的規模での動乱に備えるべきではないか。惰眠を貪っている時ではない。
.(20251215 JAcom から転載)