北東亜細亜共同体論

一覧へ戻る

図解・・・パンが主食の座を狙っている (2026.06.08)

図解・・・パンが主食の座を狙っている

●米価高騰でパンが主食になるか
 本欄の前回の主題は、米価高騰がコメの家庭内消費に及ぼす影響だった。今回の主役はパンである。パンの家庭内消費はどうなるか。パンがコメに代わって主食になるか。
 パンへの家計支出額をみると、3月の政府の家計調査によれば、1世帯あたり3、049円である。コメの3、287円に迫っている。これは、いわゆる内食で、この他に中食や外食でコメを消費している。だが、内食がコメ消費の主力であることに間違いはない。
 振り返って戦中までをみると、それまでは、パンは主食どころか、食物でさえなかった。空腹を満たすために、労働力を再生産するために、食物の代わりに食べる代物で、代用食と言われていた。
 それが、第2次大戦直後の食糧不足のなかで、パンは食物の正座を奪った、そして今、主座を狙っているように見える。
 ここでの問題は、将来、パンが主食になるか、である。結論は、否である。否にすべきである。そのように、農政は銘記すべきである。輸入小麦で作ったパンを、主食にしてはならない。

●食糧は第二の武器
 パンの原料は小麦である。日本の小麦は82%が輸入である。
 ここには、第2次大戦直後からの米国の陰謀がある。米国の穀倉地帯を「世界のパン篭」にするという企みである。第二の武器である食糧で、世界を制覇する、という野望である。そして今、トランプ大統領は、その支持基盤である農業者の支持を得るため、という目的も加えて、小麦などの穀物を大巾に増産して、世界へ大量に輸出することに懸命である。そうして、秋の選挙を乗り切ろうとしている。習近平主席は、トランプ大統領の足元をみて、米国からの穀物の輸入量の増加というエサを見せて、交渉材料にしている。
 日本はどうか。コメ余りの対策で、実質的な減反政策を続けているのに、米国からコメを輸入し続けている。これは、独立している国家が採る政策ではない。それだけではない。
 それに加えて日本は、コメをパンやメンにして、小麦の輸入量を減らすことに躊躇している。そうすると、米国からの小麦の輸入量を減らすことになり、トランプ大統領の逆鱗に触れることを恐れているからである。これらは、対米従属外交の結果である。

●パンは主食になれない
 さて本題である。下の図は、パンの家庭内需要量と、パンの価格を米価で割り算して示したものである。

 上の図を、やや詳しく説明しよう。期間は、2000年1月から2026年3月までである。
 図の中の赤丸は、パンの価格をコメの価格で割り算し、2000年が100になるように指数化したものである。
 青丸は、世帯員1人当たりの家庭内の需要量で、2000年が100になるように指数化したものである。
 縦軸は、2つとも対数目盛にして、比較し易くした。だから、上下への同じ巾の変化は、同じ率の変動になる。
.
 最近の米価高騰の時期について、詳しく見てみよう。パンの価格をコメの価格で割り算した価格指数は、急激に下がっている。つまり、パンの価格がコメの価格と比べて割安になっている。しかし、需要量は、ほとんど増えていない。
 これは何を意味するか。安価になれば需要量を増やす、というのが通常の需要行動であり、需要理論である。だが、図で示したように、実際は増やしていない。
 これは、需要は価格に反応するよりも、慣行により強く反応する、ということだろう。ここでいう慣行とは主食という慣行である。この図は、主食はそれほど容易に変えないということを、事実として示している。

●日本のパンはコメで作れ
 ここで注意すべきことは、図が需要量を世帯員1人当たりで見ていることである。多くの分析によれば、日本の将来の人口は大きく減ることを予測している。
 このことは、パンの需要量は、図で示したように1人当たりではそれほど減らないものの、日本全体のパンの需要量は、将来には大きく減ることを予想させるものである。
 このことは、パンの原料が小麦であることを考えたとき、そして小麦の供給量の82%が輸入に依存していることを考えたとき、輸入量を減らして自給率を高める可能性を予見させるものである。
 それに加えて、パンをコメで作ることにすれば、さらに小麦の輸入量を大量に減らすことが出来る。つまり、食糧自給率を大巾に高めて、食糧安保に大きく貢献することが出来る。
 アメリカのパンは、アメリカ産の小麦で作っているように、北欧の黒パンは、北欧産のライ麦で作っているように、日本のパンは、日本産のコメで作ればいいのだ。そうすれば、さらに食糧自給率を高め、食糧安保に大きく貢献することが出来る。
 これは、政治の責任である。このように農政を転換すれば、農業者だけでなく、多くの国民からの、熱烈な支持が得られるだろう。
.                    (2026.06.08)

ページトップへ戻る